自社内にしっかりした海外進出のノウハウが蓄積されていれば、必ずしも必要とはいえないかもしれません。しかし、現地マーケットや文化・習慣などの実態は、データ資料を研究するだけではなかなか把握できませんので、ここは労を惜しまず、視察に赴くことをおすすめします。
「百聞は一見にしかず」の言葉もあるように、現地を実際に訪れて初めて分かるリアルな感触は何物にも代えがたく、成功への貴重な足がかりとなるはずです。また、現地のビジネスパートナーと実際に会ってコミュニケーションを取ると、より盤石な関係が築けることでしょう。
展示会や見本市に出展出展すると、新規顧客開拓の機会が得られるのはもちろん、自社情報や製品を効果的にアピールすることで新たなビジネスパートナーと出合うことも可能です。
また来場者や参加企業の顔触れから、現地のニーズや世界市場の最新の動静も把握できます。
見本市や展示会では、開催期間の限られた時間の中でもこのように数々のメリットを享受することができるのです。もちろんただ出展すればよい、というわけではありません。出展を成功させるには綿密な研究と準備が不可欠です。
JETRO(ジェトロ・日本貿易振興機構)運営の「>見本市・展示会データベース(J-messe)http://www.jetro.go.jp/j-messe/」では世界の主要な展示会・見本市の開催情報や会場施設を調べることができます。
概要情報が日本語で案内されており、出展する会場候補をリストアップするのに便利です。詳細な情報や問い合わせは会場や展示会・見本市のオフィシャルサイトから確認できます。
また、日本国内に対象国の大使館や展示会・見本市の運営代理店がある場合はそちらに問い合わせることも可能です。
場合によっては、貿易振興機構などが確保したブースで複数の企業と合同出展が可能な場合もありますが、原則、定員に達していれば出展は厳しいでしょう。
人気の高い見本市や展示会は世界各国から申し込みが殺到しますので、年単位で待たされることも珍しくありません。出展のタイミングを逃さないためにも、日本国内の運営支部や代理店と積極的に連絡を取るようにしましょう。
また、海外出展手配に強い協力会社に相談するのもよいでしょう。
出展申し込みは開催時期の1.5年前から行うことが多く、遅くとも1年前には申し込みを済ませておかなければなりません。
出展会場の決定・申込みのタイミングで、現地の宿泊施設もおさえておき、同時に展示品の検討にも着手します。
海外出展は、荷物の運搬や備品レンタル、ブース設営にも多数の協力会社が関わりますので、綿密な計画と打ち合わせをし、地縁や混乱が生じないよう着実に進めていくことが非常に重要です。日本国内に出展する時以上にゆとりのあるスケジュールを作成しましょう。
熱意と誠意があれば、中学英語程度でもコミュニケーションは可能ともいわれますが、あくまで製品の概略説明など簡単な内容にとどめておきましょう。具体的な商談の際には必ず通訳をつけるようにします。
自分の語学力を過信して通訳を省いてしまうと、重要な場面で的確なやりとりができずに大きなトラブルに発展してしまうかもしれません
。依頼する通訳には、自社情報や商品のスペックをある程度は把握しておいてもらいましょう。事前に必要な資料を渡しておくことをおすすめします。
出展に際しては、荷物運搬やブース設営、現地スタッフ手配、備品レンタルに各種保険、税金の支払いなど様々な項目で費用が発生しますが、まず必要になるのは主催者側に支払う出展費用です。
具体的な金額は会場の規模や開催国の経済情勢などでまちまちですが、欧米では約30万円台、アジア圏では10万円台から受け付けていることもあります。
現地責任者として自社の社員が現地に赴きますが、最低でも2人以上の人員を確保しましょう。開催期間が複数にまたがる場合でも必ず1人は自社スタッフを配置するシフトを組むためです。
自社スタッフは商品説明やPRだけでなく具体的な商談を行うための知識も必要ですので、それをふまえた人員選出を行います。
自社スタッフだけですべての業務をまかなうことは不可能なので、現地アシスタントを手配して協力体制を築きましょう。
彼らにも展示品などについてある程度把握しておく必要がありますので、必要な資料を用意してミーティングなどを行いましょう。
現地スタッフにブース設営など事前準備を任せてしまえる場合は、滞在期間は比較的少なくて済みます。
とはいっても少なくとも開催期間とその前後に1日の滞在期間は必ず設けましょう。
展示品の設置や動作確認に自社スタッフが必要な場合は、その実施期間もあわせて確保します。
パスポートや航空券など、一般的な渡航に必要なものの説明は省きますが、意外なところでネット回線用ジャックや変圧器などはあると重宝します。開催国にあわせたタイプを用意します。
他にも、ガムテープやサインペン、封筒類やごみ袋といった事務一般用品なども使い慣れた日本のものがあるとクオリティ的にも安心です。
夜間の盗難防止用品として展示品にかける大きな布カバーやカギ、商談時のための電卓なども現場で役立つことでしょう。
まずは現地警察に連絡し、被害届を提出します。
この手続きを怠ると保険会社からの補償が受けられないこともありますので忘れずに。
同時に、被害の状況を記録します。カメラなどで撮影しておくとよいでしょう。これも保険会社への申請の際に必要になります。
保険会社にも連絡し、必要な手続きなどを確認しましょう。帰国後に具体的な申請作業に入ります。
海外見本市や展示会での盗難は多発しており、可能な限り対策を取っておく必要があります。展示品や備品の搬入は自社スタッフが到着してから行うようにし、なるべく開催直前に行うようにします。
人気のなくなる夜間は特に要注意です。ブースは布をかけて覆い隠したり、貴重な展示品は鍵のかかる場所に隔離したり、場合によっては警備員を雇うなどして対応しましょう。